BPO子会社の新規事業創出|AI時代に受託体質から脱却した組織変革の実例

DX・AI台頭で既存受託業務だけでは生き残れないBPO子会社の危機

大手企業のBPO(業務受託)を担うグループ子会社様。DX・AI技術の台頭により、既存の受託業務だけでは売上減少が避けられない状況にあります。親会社・経営陣からは「売上回復・新規ビジネス創出」の厳命が下っていますが、現場のプロパー社員は長年「決まった業務を正確に遂行すること」を評価されてきたため、「新しいものを生み出す」という発想やスキルが定着していません。

 

なぜこの会社は「受託体質」になったのか

この状況は、偶然生まれたものではありません。

そもそもこの会社は、親会社が切り出したい作業を担うというミッションのもとに設立されています。「決まったことをきちんと進めること」が会社にとって最も重要な価値であり、目の前の顧客に真摯に誠実に向き合うことが求められてきました。

その文化の中では、企画や提案という能力が育まれる機会がありませんでした。仮にアイデアが生まれても、親会社の方針によって実現できないという制約が繰り返されることで、「提案しても無駄だ」という意識が組織に根付いていったのです。

受託体質は、個人の問題ではなく、会社の構造と歴史が作り出したものです。

 

「笛吹けど踊らず」— 孤立する経営陣と戸惑う現場の温度差

支援を始めた当初、経営陣と現場の間には明確な温度差がありました。

経営陣は強い危機感を持っていました。「このままでは会社が立ち行かない」という切迫感から、変革に向けて陣頭指揮を執ろうとしていました。

一方、現場も危機感がないわけではありませんでした。ただ、「ではどうするか」という問いに対しては、自分の身近な範囲でできることをやろうという発想に留まっていました。大きな変革を自分ごととして捉え、主体的に動くところまでは至っていなかったのです。

経営陣が変革を推し進めようとしても、現場はすぐに元の行動様式に戻っていく。「笛吹けど踊らず」の状態で、経営者が一人で空回りし疲弊してしまう——典型的なパターンに陥りかけていました。

 

「経営と現場の翻訳」から始める伴走支援

単なる「アイデア出し研修」では何も変わりません。私たちは「経営と現場の翻訳」から介入しています。

「危機感」を煽るのではなく、現場社員が持つ業務知識こそが新しい価値の源泉であることを気づかせることから始めました。「分からない」「できない」という状態から、「意外とできるかも」「そういう考え方をすれば良いのか」という自信へ。そして「自分たちの未来のために動く」という行動変容へ。このプロセスを丁寧に伴走しています。

現在は、経営陣と現場の「共創チーム」を組成し、小さな成功体験作りから着手しています。

 

変化の兆し — 現場と経営陣の好循環が生まれ始めた

共創チームが動き始めると、徐々に変化が見え始めました。

現場メンバーが、慣れていないことに愚直に挑戦するようになりました。指示されたからではなく、言われたことを自分なりに受け止めて取り組む姿勢が出てきたのです。

その姿を見た経営陣にも変化が起きました。「思ったより活動している」という驚きが、指摘や修正ではなく、後押しするポジティブな言動へと変わっていきました。

経営陣が後押しするから、現場メンバーがさらに頑張る。現場が頑張るから、経営陣がさらに応援する——この好循環が少しずつ生まれ始めています。

受託体質の変革は、まだ道半ばです。ただ、「自分たちで考えて動く」という組織の行動様式が書き換わり始めているという手応えを感じています。

  

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