「リーダーの奥にある葛藤」— エグゼクティブコーチングで腹落ちできなかった人が求めていたもの
「何か違う」という感覚
コーチングを受けた後に、こう感じたことはないでしょうか。
「なんとなく理想的な答えに着地してしまった。でも、それが本当に自分のやりたいことかどうか、しっくりこない」
ポジティブな結論に着地しなければいけないような雰囲気が漂う時、こんなことが起こりがちです。自分の中にある迷いや抵抗感が置き去りにされたまま、「こうすべき」という方向に着地してしまった——そういう経験をした方が、時々います。
その違和感の正体は何か。そして、その人が本当に必要としていたものは何だったのか。
人は「理想」と「現実」の間で揺れている
コーチングでは、GROWモデルに代表されるように「ありたい姿」を描いてもらうアプローチがあります。それは多くの場面で有効です。
ただ、人の内側は単純ではありません。
「自分はこうだと思っているけど、迷いがある」「変えなくてはいけないんだろうと感じているけど、どこか抵抗がある」「本当はこうすべきなのかと思っているが、直感的に上手くいかなさそうな気もする」——そういう葛藤の中にいる人は少なくありません。
特に経営者や事業責任者など、他者への影響力を常に考えているような方は、そのちょっとしたズレを見せない時もあります。
そういう状態で「ありたい姿」を具体化していくと、本来は「こうすべき」という答えが出やすくなります。頭で考えた理想です。当然そのまま、その答えに向かったアクションを考えても、腹落ちしない。
それは、その答えにはクライアントが大切にしている要素が欠けているからかもしれません。
「不一致」に気づいた時に問うこと
先ほどのようなケースでコーチングをしていると、クライアントの言動や表情、言葉の選び方に「その人らしくない不一致感」を感じます。
そういう時は、私から見えている姿を伝え、安心して抵抗しているものを出してもらいます。
リーダーは理想と現実の間でいつも葛藤しています。特に責任が大きくなればなるほどリーダーとしての発信も必要なので、その葛藤は大きくなります。
その理想を追い求める姿も本音ですが、そこに対する迷いも、抵抗感も、その人の大切な一部です。そういう部分も含めて話をしながら、その人らしく、少しでも前に進める一手を一緒に探します。
その抵抗感の原因は、他者理解やマインドのみならず、ビジネス環境や組織構造、経験やスキルなど多岐に渡っていますので、丁寧に紐解いていく必要があります。
理想が見えない時には、呼び水を渡す
関連するケースがあります。
理想が見えないのは、経験や知識が足りないからという場合です。これは成長中のベンチャー経営者や、マネジメント経験があまりないリーダー、役割や事業ドメインがはっきりしている大企業や子会社の次世代経営候補にありがちです。
そういう時は、そのシーンに合った一般論や事例をインプットしながら考えてもらうことがあります。
クライアントの多くは学習意欲・成長意欲が高い方々です。新しい視点や情報を渡すと、そこから自分なりの突破口を見出していくケースがよくあります。もちろん、それをやるかどうかはその方が自分で選びます。呼び水はあくまで呼び水です。
「答えはクライアントの中にある」——これは大切な哲学です。ただ、答えはクライアントの中だけにあるとは限らない。外からの視点や情報が、その人の中にある答えを引き出すきっかけになることもあります。
腹落ちするとはどういうことか
あるクライアントはこう言ってくれました。「過去に受けたコーチングは、根掘り葉掘り聞かれる割にアクションが理想やあるべき論に着地させられた。ここでは違った。絵空事でなく、きちんと地に足のついた関わりをしてもらえた」と。
また別のクライアントは「コーチングでは味わえない腹落ち感で勇気をもらえた」と言ってくれました。
腹落ちとは、「自分がなぜそれをするのか」が腑に落ちている状態です。頭で考えた「すべきこと」ではなく、自分の現実から生まれた「やりたいこと・やれること」として行動が見えている状態です。
こんな方に届いてほしい
このアプローチが機能する方には、共通する状態があります。
「社内に本音で話せる相手がいない」
「自分なりにやってきたが、それを超えたい」
「やるべきことはわかっている気がするが、なぜか動けない」
コーチングを試したが腹落ちしなかった、という経験があっても構いません。むしろそういう方の方が、違いを感じていただきやすいかもしれません。
おわりに
「答えはクライアントの中にある」——これは美しい哲学です。その考え方を大切にしながらも、時に外からの視点を渡し、時に不一致に気づいて問い、時に迷いや抵抗感をそのまま受け取る。
その人らしく、現実を動かす一手を一緒に見つけること。それが、このコーチングで目指していることです。
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