人事異動が組織変革を止める—熱量を絶やさないために必要なこと

変革は「仕組み」より「熱量」で動いている

組織変革に長く関わっていると、あるパターンに気づきます。

研修は継続されている。制度も残っている。でも、何かが変わってしまった…

その「何か」とは、熱量です。

変革を推進する担当者が異動し、新しい担当者に引き継がれた瞬間から、表面上は同じ活動が続いていても、組織の内側で起きていることが変わり始めることがあります。

 

「熱量が下がった」と感じる瞬間

それが最も鮮明に現れるのが、キックオフなど社員の前で活動の説明をするシーンです。

新しい担当者は、前任から引き継ぎを受けています。活動の概要、スケジュール、関係者・・・。これらは伝わります。しかし、どうしても伝えきれないものがあります。それは「文脈」と「想い」です。

なぜこの活動を始めたのか。どんな壁にぶつかって、どう乗り越えてきたのか。この活動が組織にとって何を意味するのか。そして、担当者自身がこの変革に対してどれほどの想いを持っているのか。

これらは、引き継ぎ資料には書けません。だからこそ、担当者が変わることで熱量が下がるのは、ある意味で必然です。

 

大企業と子会社で、なぜ差が生まれるのか

大きな組織ほど、人事異動は頻繁に起きます。変革の担当者も例外ではありません。

こういった環境では、変革が「仕組み」として定着する前に担当者が変わるケースが多い。結果として、研修や制度は形として残っていても、それを推進する人の想いが継続しない状態になります。

一方で、人事異動が少ない子会社規模の組織では、最初の熱量が継続されたまま変革が進むことが多いです。それだけではありません。成果が見え始めることで、年を追うごとに熱量が増していくケースも目にします。

同じ活動をしていても、これほどの差が生まれる。その原因の多くは、担当者の継続性にあります。

 

熱量が継続する組織に共通すること

ただし、大きな組織でも熱量が継続しているケースがあります。

その共通点は、新しい担当者が活動そのものの元参加者であることです。

研修や変革活動を受講した社員が、数年後にその担当者になる。前任の想いをすべて引き継ぐことはできなくても、自分自身が「良い体験をした」という記憶があります。その体験が土台となり、前任の想いを受け止めながら、自分の想いが乗ってきます。

後任の選定時に、活動の参加者の中から候補を検討する。それだけでも熱量の継続につながります。活動参加者がまだ少なく、成果も道半ばの時期だからこそ、この視点を意識的に持っておくことが大切です。

 

「仕組み化」の本当の意味

変革を持続させるためには「仕組み化」が重要だとよく言われます。毎年定番の研修になる、制度が定例行事になる・・・。確かにこれは大切です。

ただ、仕組みはあくまで「器」です。器だけが残って、中身の熱量がなくなれば、活動は形骸化していきます。

本当の意味での仕組み化とは、活動を定例化することだけではなく、熱量が引き継がれる構造を作ることだと考えています。それは担当者に限らず、この変革に関わるすべての人の中に、想いのバトンが渡り続けているかどうかです。

 

経営・人事担当者へ

変革を推進している担当者が異動する時、何を引き継ぎますか?

資料やノウハウは引き継げます。でも、想いと文脈は引き継げません。

だとすれば、今から考えておくべきことがあります。

「この変革の担当者を、あと何年継続させられますか?」

「次の担当者として、この変革の想いを受け止め、さらに発展させてくれる人が社内にいますか?」

成果の道半ばで担当者が変わる場面は、どんな組織にも訪れます。その時に備えて、この問いを持っておくことが、変革を止めないための準備になります。

 

おわりに

組織変革は、制度や研修だけでは動きません。それを推進する人の想いと熱量があって初めて、組織は動きます。

仕組みを作ることと、熱量を引き継ぐことは、どちらが欠けても変革は続きません。しかし多くの場合、後者はあまり考慮されないまま、担当者の交代を迎えてしまいます。

iBRIDGEでは、変革を長期で伴走する中で、この「熱量の継続」を意識した支援を行っています。単発の研修や制度設計にとどまらず、変革が根付く構造を一緒に作ることを大切にしています。

 

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